冷たい指先と、小さな箱の中の体温
静岡駅の南口に降り立った瞬間、肺の奥まで凍りつかせるような冷たい空気が流れ込んできた。1月の空気はどこか金属的な、鋭いオゾンの匂いが混じっていて、肌を刺すように乾燥している。「本当に寒いね」と隣を歩く君が小さく肩をすくめた。厚手のコートの袖…
藤の花の香りと、隣で眠る呼吸の音
指先に触れる五月の空気は、しっとりと湿り気を帯び、どこか遠くで誰かが淹れたお茶の香りが淡く混ざり合っていた。静岡駅南口からホテルカプセルイン静岡へと向かうわずか三分の道のり、私たちは何度も歩幅を合わせては、わずかにずれる。その不器用なリズム…