カーペットに落ちた、オレンジ色の長い影
五月の風は、まだ少しだけ冷たさを孕んでいる。けれど、肌を撫でる感覚はどこまでも柔らかく、潮の香りが混じった心地よい海風が、旅の始まりを告げていた。国際展示場駅からホテルへと向かうわずか三分の道のり。その短い距離の中で、家族の輪郭はどんどん賑…
ぬるい風と、小さな手のひらの温度
ひんやりとした冷気が肌を刺した瞬間、意識がゆっくりと覚醒する。東京ベイ有明ワシントンホテルのレストランに足を踏み入れると、外の猛暑がまるで遠い異国の出来事のように感じられた。朝の七時。まだ半分夢の中にいる次男が、私の裾をぎゅっと掴んでいる。…