小さな靴音が廊下に響くまでの時間
五月の横浜の空気は、しっとりと湿り気を帯びていて、肌に触れるとひんやりとした心地よさがある。JR関内駅から歩いてすぐ、コンフォートホテル横浜関内の自動ドアが開いた瞬間、外の喧騒がふっと遠のき、代わりに焙煎したてのコーヒーのような香ばしい香り…
10月 family U
35 ほどけない靴紐と、朝のコーヒーの湯気
ライブラリーカフェに差し込む午前七時の光は、淡い金色に透き通り、空気中を静かに舞う小さな埃さえも、まるで宙に浮く宝石のように輝いていた。まだ意識が微睡みの淵にある心地で、温かい飲み物を手に取ると、陶器の熱が指先からじんわりと伝わり、身体の芯…