← 戻る AMANE RESORT GAHAMA

笑い声がいつまでも消えなかった、あの夜の残響

私たちの「大人の皮」が剥がれ落ちた瞬間を記憶する5つのもの

真っ白なリネン:洗いたてのコットンの清潔な香りと、誰かがこっそり持ち込んだポテトチップスのジャンキーな匂いが混じり合う不思議な空間。午前3時、「誰が一番、社会人としての能力が低いか」という不毛極まりない議論が白熱し、「いや、だって普通はこうでしょ!」と身振り手振りで言い争っていた私たちの情けない姿を、このシーツはすべて静かに吸収してくれていた。もぞもぞと暴れてシワだらけになった布の感触が、あの夜の心地よい混沌を雄弁に物語っている。

檜の浴槽:肌にまとわりつく濃密な湯気と、時折「チャポン」と小さく跳ねるお湯の音。ラグジュアリールームに備わったこの贅沢な空間で、本当は「静寂に浸る大人の休息」を求めて来たはずだった。けれど実際には、翌日の観光ルートを巡って、湯船の中で激しく言い争うというシュールな光景が繰り広げられていた。ふとした瞬間に全員が同時に深くため息をつき、肩の力が抜けていったあのぬくもりだけは、今でも指先に心地よく残っている。

テラスの手すり:指先に伝わる冷たいスチールの質感と、潮風に混じってかすかに漂う桜の淡い香り。誰が一番「映える」写真が撮れるかという賭けに負け、不格好なポーズで別府の海を背景に撮影されていた友人の、絶望に満ちた顔。15回くらい撮り直して、結局どれも使い物にならなかったけれど、「もういいよ!」という笑い声と、手のひらに残った冷たさの対比が、なんだかたまらなく心地よかった。

コーヒーメーカー:低く唸る機械的な動作音と、鼻腔をくすぐる深く苦い豆の香り。前夜の盛り上がりで完全に睡眠時間を削り、ゾンビのようにふらふらとキッチンに集まった私たちの、焦点の合っていない瞳。「生きてる……?」という誰かの呟きに、全員が小さく頷いた。カップに注がれる黒い液体の音だけが、静まり返った朝の部屋に響き渡り、私たちは互いのひどい顔を見て、また堪えきれずに笑い合った。

裸足で触れる床:足裏に伝わるタイルの、少しだけひんやりとした正確な温度。最後に残った一枚のバスタオルを巡って、誰が一番早く浴室から出られるかという、大の大人がやるべきではない全力疾走が繰り広げられた。滑りそうになって派手にバランスを崩した誰かの足音と、それに続く爆笑。この床は、私たちの幼稚さと、飾らない関係性をすべて記録していたはずだ。

もしこの部屋の物たちが口を揃えて話すなら

きっと彼らは、私たちを「騒々しいけれど、どこか不器用な音色を持った集団」と呼ぶだろう。別府上人ヶ浜温泉ホテルアマネリゾート ガハマの空間は、本来なら静寂が主役であり、洗練された別荘文化が息づく場所だ。けれど、そこに私たちの笑い声やくだらない言い争い、そしてふとした瞬間の心地よい沈黙が重なったとき、そこには不思議な調和が生まれていた。それは完璧な調律ではなく、少しだけ音の外れた合奏のような心地よさ。彼らはきっと、私たちが互いの欠点をいじり合いながらも、同じ方向を向いて海を眺めていた時間を、微笑ましく見守っていたに違いない。

窓の外から迷い込んだ一枚の桜が、真っ白なシーツの上に静かに着地した。

  • 誰が一番に起きられるか賭けをしてみること。負けた人がコーヒーを淹れるルールにすれば、最高の目覚めになるはず。
  • 完璧な写真を目指すのをやめて、あえて「失敗作」だけを集めたアルバムを作ること。それが後で一番笑える宝物になるから。