淘心庵 米屋

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2月 family U
13

小さな指先が触れた、冬の終わりの匂い

鼻先を刺すような、凛とした冬の空気。吐き出す息は白く濁り、目の前の景色を淡いヴェールで覆う。2月の伊東は、まだ冬が名残惜しそうにしっぽを振っているような、そんな温度だった。南伊東駅から車を走らせ、静謐な空気に包まれた「淘心庵 米屋 / To…

3月 family U
22

畳の温もりに、小さな手がそっと触れたとき

指先に触れる茶碗の温度が、心地よく身体の芯まで染み渡る。淘心庵 米屋 / Toushinan Komeya の朝食時間は、立ち上る真っ白な湯気が幾重にも層を成し、視界を柔らかく揺らしていた。それはまるで、静かな水底からゆっくりと昇っていく気…

5月 couple U
24

肩に落ちた光が、少しだけ動いた

五月の風が竹林を揺らすとき、それはささやきというより、もっと低い、地面を這うような密やかな唸りに聞こえる。南伊東駅から歩く道の途中で、空気がじわりと温度を上げ、肌にまとわりつく濃密な湿度に気づいたとき、私たちはようやくこの街の懐に飛び込んだ…

5月 friends U
17

畳の上に広げた、コンビニのプラスチック袋

指先に食い込む、コンビニ袋の細いビニールの感触。5月の伊東の夜は、しっとりと湿り気を帯びていて、どこか遠くから藤の花の甘い香りが夜風に運ばれてくる。本当は、もう十分すぎるほど満たされていたはずだ。淘心庵 米屋 / Toushinan Kom…

6月 family U
12

軒先の雨音と、小さく握られた手のひら

車内は出発から三時間、絶え間ない小さな戦場だった。上の子が五分おきに「もう着いた?」と問いかけ、下の子は後部座席で謎のダンスを踊りながらお菓子をぶちまける。ハンドルを握る私の心の中で、「優雅な家族の時間」という幻想が静かに崩れ去っていくのが…

6月 friends U
20

濡れたサンダルが廊下で鳴る音

「88の手間」を物理的な歩数で再現してみる 宿が大切にする「手間ひま」の精神を、あえて歩数という数値で検証しようと試みた。静まり返った廊下に、私たちの不揃いな足音がリズミカルに響き渡り、古い木造建築特有の、どこか懐かしい木の香りが鼻をくすぐ…

8月 couple U
34

花火の音が、少しだけ遅れて届いた夜

淘心庵 米屋 / Toushinan Komeyaという場所は、そういう「間」を許してくれる空間だった。竹林に囲まれた離れの「つばき」の間へ足を踏み入れたとき、そこには外界の喧騒を完全に遮断する、質の高い静寂があった。畳に裸足で触れたときの…

9月 couple U
24

畳の上に落ちた、月とあなたの影

指先に触れた湯呑みの温かさが、心地よく、けれど少しだけ強く感じられた。淘心庵 米屋の入り口に足を踏み入れたとき、私たちはまだ、都会の喧騒という名の速いリズムを身にまとっていた。チェックインの手続きを待つ間、隣に座るあなたの肩と私の肩が、触れ…

9月 family U
37

畳の上を走る、小さな足音のリズム

炊きたての米が放つ、甘く白い香りが部屋いっぱいに満ちている。それに重なるように、丁寧に引かれた出汁の香りが鼻腔を優しくくすぐる。朝の空気はまだ凛としていて、浴衣の袖口から入り込むひんやりとした風が心地よい。けれど、目の前の光景は「静寂」とは…

12月 couple U
37

指先が触れるか触れないかの距離で

鼻先をかすめる空気が、刺すように冷たい。十二月の伊豆は、海からの風がしっとりと湿り気を帯びていて、深く息を吸い込むたびに肺の奥まで冷やされる感覚がある。南伊東駅から辿り着いた淘心庵 米屋の入り口で、私たちは一度だけ足を止めた。目の前に広がっ…

12月 friends U
8

湯気で顔が見えなくなった瞬間の笑い声

(Aの視点) 指先に触れる空気の温度が、急に鋭さを増した。12月の伊豆、南伊東駅から歩く道の途中で、湿った土と青々とした竹の香りが混ざり合い、深く鼻をくすぐる。淘心庵 米屋 / Toushinan Komeya の入り口に立つと、竹林が冬の…