道後プリンスホテルで試した「大人の本気遊び」4選
みかんボールの湯でオレンジ色に染まる挑戦
鼻腔をくすぐる甘酸っぱい柑橘の香りが、濃密な湯気と共に肺の奥まで満たされ、肌にまとわりつく黄金色のお湯に身を委ねると、「誰が一番早くオレンジ色に染まった気分になれるか」という不毛な賭けが始まった。誰かの弾んだ叫び声が浴室に心地よく響き、結果的に全員が心地よくのぼせてふにゃふにゃに溶けてしまったが、心まで鮮やかに染まった大成功の検証だったと言える。
まんがの湯で「究極の読書」を完遂させる
白い湯気のヴェールに包まれながらお湯に浸かり、濡れた指先が紙に張り付くもどかしさと、重力から解放された身体がもたらす抗えない眠気に、わずか3ページ目で完敗した。耳に届くお湯の跳ねる音と、古本のインクのような香りが混ざり合う温かな繭に包まれ、読書というよりは質の高い昼寝を堪能することになったが、これこそが至福の敗北だった。
迷路のような館内を地図なしで攻略する
厚手のカーペットが足音を静かに吸い込み、琥珀色の照明に照らされた廊下を浴衣の裾をさらさらと揺らしながら歩くと、自分が今どこにいるのか分からなくなる不思議な感覚に陥った。目的の大浴場に辿り着くまでに何度も同じ角を曲がったが、「ねえ、ここさっきも通らなかった?」と顔を見合わせて笑い合えた時間は、このホテルという大きな迷宮を探索する正解の過ごし方だった。
深夜のテラスで秋の冷気に身を任せる
火照った肌に触れる10月の夜風が冷たいナイフのように心地よく、静まり返った道後の街の灯りを遠くに眺めながら、普段は口にしないとりとめもない話を夜通し交わした。冷たい空気と温かい記憶が混ざり合い、心の中の澱が洗い流されていくような静謐なひとときは、誰の意見も正解ではないけれど、私たちにとっては完全なる成功だったと言い切れる。
旅のスコアボード
一番の収穫は、計画表を捨てて得た「空白の時間」だった。道後プリンスホテルの空間は、まるで湯気に溶け出す香りのように、私たちの緊張をゆっくりと解きほぐしてくれた。朝のロビーに差し込む淡い光と、裸足に触れるタイルのひんやりとした感触。和モダンツインのテラスで感じた静寂。分刻みの予定を忘れて、ただ誰よりも贅沢に館内湯めぐりを堪能することに心血を注いだ。そんな、誰にも評価されない「意味のない時間」こそが、この旅の最高得点だったと言える。
窓の外で、最後の一枚の紅葉が静かに舞い落ちた。
- 貸切露天風呂で、あえて何も話さずにお湯の音だけを聞く時間を10分作ってみて。
- 館内の湯めぐりマップを塗りつぶすまで、誰が一番多くのお湯に浸かれるか競ってみて。